安芸灘地震(芸予地震)関連情報
「芸予地震被災資料救出ネットワ−ク愛媛(略称:愛媛資料ネット)」への参加・協力の呼びかけ 3月24日に発生した芸予地震は、愛媛・広島・山口の三県を中心に200名を超える死傷者を出し、 約8000棟の家屋が損壊するなど甚大な被害をもたらしましたが、地域で大切に守り伝えてきた文化財 もその例外ではありません。愛媛県では、松山城(国史跡)の石垣や門が損壊し、波止浜(国指定名勝) にある村上神社の本殿が崩壊しました。このように今回の地震では愛媛のすぐれた歴史遺産も深刻な被害 を受けました。 しかし、それ以上に現在消滅の危機にさらされているのが古文書や民具、街角の石造物など身近にある 文化財です。愛媛の豊かな歴史を我々に伝えてくれるのは著名な文化財だけではありません。家々に大切 に保存されている古文書や民具、道路の側にある石造物も立派な文化財であり、これまでの愛媛の人々の 生活を知るための重要な歴史資料です。ところが、1995年の阪神大震災、2000年の鳥取西部地震 の際には、家屋の解体・修理時に多くの大切な古文書が捨てられたり、焼かれたりしました。また、道路 復旧時に撤去された石造物も多くありました。今回の芸予地震においてもこうした身近にある貴重な文化 財や歴史資料が失われる恐れが十分にあります。地域の歴史を語り、そこに生きる人々の支えになってき た大切な歴史遺産がなくなってしまうとすれば、それは非常に残念なことといわざるをえません。 そこでこのたび地域の歴史・民俗の研究・教育に携わっている者が協力して「芸予地震被災資料救出ネ ットワ−ク愛媛(略称:愛媛資料ネット)」を組織し、被災資料・文化財の緊急調査及び保全救出活動を 始めることにしました。今後は被災地周辺の関係者・関係機関と連絡をとりながら、地元自治体とともに 被災資料・文化財の緊急調査や救出、現地での保全管理などの活動を行う予定です。こうした活動はすで に阪神大震災や鳥取西部地震の際にも行われており、貴重な古文書が破棄される直前に救出保全されるな ど多くの成果をあげています。ただ、こうした活動には日頃から各地域で歴史・民俗の研究・教育に関わ っておられる方々の参加と協力が不可欠です。つきましては、以上の趣旨を御理解いただき、できるだけ 多くの団体・個人の方々に参加・協力して下さるようお願いする次第です。 また、被災地の皆様には災害復旧のため御多忙とは存じますが、なにとぞ我々の活動に御協力賜ります ようお願い致します。なお、地域の歴史を伝える資料・文化財としては次のようなものがあります。 古文書(江戸時代以前に、くずした文字で和紙に書いたものなど) 古い本(和紙に書かれて冊子にしてあるものなど) 明治・大正・昭和の古い記録(手紙や日記など)・新聞・写真・絵 農具、機織りや養蚕の道具、古い着物など、物づくりや生活のための道具 これらのものは、母屋や蔵にあるタンスや箱に収められたり、ふすまや壁紙の下張りとして用いられたり するなどして残っています。こうした資料・文化財に関する情報・相談などがあれば、下記の連絡・問い 合わせ先まで御連絡下さい。 2001年3月30日 呼びかけ人 代表:武智利博(伊予史談会会長)・内田九州男(愛媛大学教授) 川岡 勉(愛媛大学) 徳永高志(松山東雲女子大学) 川東 弘(松山大学) 西尾和美(松山東雲女子大学) 近藤福太郎(大西町史談会) 松原弘宣(愛媛大学) 島津豊幸(元愛光学園) 村上正郎(今治史談会) 白石通弘(瀬戸内海研究会議) 森 正史(愛媛民俗学会) 仙波令巳(松山短大) 森 正康(松山東雲短大) 寺内 浩(愛媛大学) 矢野達雄(愛媛大学) (50音順) 連絡・問い合わせ先 芸予地震被災資料救出ネットワ−ク愛媛(略称:愛媛資料ネット) 〒790-8577 松山市文京町3 愛媛大学法文学部寺内研究室気付 TEL 089-927-9317(寺内研究室)・070-5681-9857(愛媛資料ネット専用) Eメ−ル terauchi@LL.ehime-u.ac.jp *参加・協力していただける方は、 ㈰氏名(団体名)・住所・電話番号、もしあればEメ−ルアドレスを、 ㈪ハガキもしくはEメ−ルで、 上記宛に御連絡下さい。 (寺内)
安芸灘地震(瀬戸内地震)被災地の 歴史資料・文化財関係者の皆さんへ このたびの地震でこうむられた大きな被害と、今も続く不自由な生活に対し、謹ん でお見舞い申し上げます。 私たち歴史資料ネットワーク(阪神大震災対策歴史学会連絡会)と、鳥取県西部地 震(山陰中部地震)被災史料救出ネットワークは、5年前の阪神淡路大震災と、昨年 の鳥取県西部地震の被災地で、歴史資料を始めとした文化遺産の救出・保全をおこ なってきた歴史・民俗研究者の団体です。私たちは、震災時に、全国の市民・研究者 等から支援をうけて、自治体や地元住民と協力しながら、地域社会の民間史料の救出 や文化財の被害調査など、被災地における文化遺産の保全・再生の取り組みおこなっ てきました。 これらの歴史資料・文化財の保全復旧活動は、少なくない成果をあげましたが、そ の一方で、損壊建築物の解体の際に焼れたり、撤去・破棄された古文書や民具も少な くありません。阪神大震災の場合、それまであった文化遺産の三分の二が、被災地域 から滅失してしまったという報告もあり、始動が地震の約1ヶ月後と遅かったことが 反省点にあげられました。この教訓を踏まえ、鳥取県西部地震では、地震直後から活 動を開始しましたが、現地の組織体制の早期確立が、今後の課題に残りました。 今回の瀬戸内地震の被災地は、歴史的環境の豊かな地域として知られています。収 蔵施設に保管されているもの、文化財指定を受けているものの他にも、地域のあちら こちらに、先人の営為を伝える歴史資産、文化遺産が数多く存在するはずです。それ らが今回の大地震を乗り越えて保全されれば、地域の再生にむけた心の糧になるはず です。古文書や民具・石造物など地域遺産が、震災のせいで姿を消してしまわないよ う、関係者は手立てを尽くすべきではないでしょうか。私たちも同じ体験をしたもの として、出来うる限りの支援・協力をしていくつもりです。 2001年3月26日 歴 史 資 料 ネ ッ ト ワ ー ク 代表幹事:奥村 弘(神戸大学助教授) 〒657−8501 灘区六甲台町1−1 神戸大学文学部内 TEL/FAX078−803−5565 URL:http://www.lit.kobe-u.ac.jp/~macchan/welcome.html MAIL:yfujita@lit.kobe-u.ac.jp 鳥取県西部地震(山陰中部地震)被災史料救出ネットワーク 代表:竹永三男〈島根大学教授〉 〒690−8504 松江市西川津町1060 島根大学法文学部気付 TEL0852−32−6191(小林准士研究室) URL:http://www.hist.shimane-u.ac.jp/eq/index.html (以上のアピール文は、上記史料ネットHPにも掲載されています)